防げる病気
毛玉病からウサギを守ろう!

オイ! いたずらしてんのか?
怒鳴っていても、心ではず~っと元気でいてほしいの

毛玉病って何? 胃腸うっ滞

もともと繊維が少ない食生活を送っていて消化器官の働きが鈍っているようなうさぎによく起こります。毛づくろい時などに毛を飲み込んでしまい、それが胃袋で食物と混ざって大きな塊となって食物の腸への移動をブロックしたり、胃の働きそのものを妨げたりする病気で、放置すると死に至ります。メスの子宮ガンと並んでウサギの死因としてかなりの比率を占めます。

俗に毛玉病と呼びますが、おなかに毛玉がたまった状態は結果であって原因ではないので、より正確には
胃腸うっ滞といいます。

どうして起こるの?

食生活 毛玉病というくらいだから、毛玉さえなければいい...と思われていましたが、最近の研究では、毛玉がたまってしまうような内臓の状態にそもそも問題がある、ということがわかっています。つまり、長い間の偏った食事で弱った内臓こそが原因なのす。

家の中でどんなに威張っていても、自然界でのウサギは、とても弱い動物です。従って、粗食に慣れています。消化器官も粗食向きなのです。枯れ草を食べても消化できるように長い長い腸を持っています。返して言えば、体の中で食べ物を押し進めるのにたくさんの繊維が必要になるということです。ペレットや、精製された人間の食べ物のような繊維の少ないモチモチした食べ物だけを長い間食べ続けると消化器官が正常に動かなくなってしまいます。さらに、こうした繊維質の少ない食べ物は、飲み込んだ毛を糊のように固めてしまいます。これを放置しておくと、毛と食べ物の塊がおなかの中でどんどん大きくなってしまいます。

 繊維の少ない食生活ですでに弱っているウサギの胃腸にとどめをさすのが、毛玉です。従って、毛を一切飲み込まないように丸刈りにしたところで(実行しないでください)、食生活を改善して胃腸の調子を正常に戻さない限り、ウサギはいつでも危険な状態にあると思ってください。この元凶を取り除くのが第一ですが、同時に毛を大量に飲まないように気を配ってあげましょう。

一日中小屋に入れられているようなウサギは、退屈で必要以上に毛づくろいしたり、ノイローゼで自分の毛を抜いて食べたりしてしまうことがあります。広い所で自由に遊べる幸せなウサギでも毛換わりの時期に思いの他たくさんの毛を飲み込んでしまうこともあります。この胃の中の毛が、発病の引き金となります。ウサギの場合、ネコのようにたまった毛玉を自分で吐き出すことができないので、内臓が弱っていてちゃんと排泄されないと、どんどん貯まってしまうのです。

早期発見には? 処置は? 便秘サインを見逃すな!

まず、便秘がちになり、フンが固く、小さくなります。そして、フンに毛が多く含まれて、ひどくなると数珠(じゅず)のようにフン同士が毛でつながったりします。この状態で、まだ通常のエサを食べるようなら、ペレットを控え、代わりに干し草をたくさん与えます。さらに、胃の中の毛の塊をほぐす酵素のあるパパイヤやパイナップルを与えて様子を見ます。フンがだんだん大きくツヤツヤふっくらしてきたら、塊はほどけたと考えていいでしょう。

不安な人は、最初に症状を見つけた時点で獣医さんに駆け込みましょう。

早期発見できなかったら...

獣医さんに行く! 元気がないのでフンを見たら小さくて毛がいっぱい、量も少ない。しかも餌を食べない。こんな時、あるいは下痢の中に毛が混じってるような場合は、すぐ獣医さんに連れていってあげてください。かかりつけの獣医さんがない場合は、知人にきいたりネットできいたりしてウサギを診てくれる獣医さん情報を集めるか、間に合わないようなら電話帳で探します。行く前に電話してウサギを診てもらえるか、念のためウサギの毛玉病手術をしたことがあるかも訊ねてからにした方がいいと思います。普段から獣医さんの情報を集めておくとこういう時助かりますよね。

心の準備 診察の結果軽症とわかって薬をもらって帰ることもあるし、すぐ手術、ということもあります。そんな時慌てないように、お金は多めに持っていきましょう。お金だけの問題ではなく、手術ときいて飼い主がオロオロすると、それがウサギにも伝わっておびえさせてしまいます。


予防にはどうするの?

食生活の改善 まず、ペレット中心の食生活から野菜中心の食事に切り替えます。ただ、それまでペレット100%の食事だったのを突然野菜100%にする、というような食生活の激変は避けましょう。そのショックが体調を崩す原因になっては元も子もありません。野菜の水分で下痢するウサギもいるので、様子を見ながら、徐々に徐々にがポイントです。うさぎに与えてよい野菜・ペレットの量など、詳しいメニュー作りについては、
別ページ『うさぎの健康食』を参照してください。

野菜導入スケジュール例
1日目 1種類目の野菜Aを少量メニューに加える。
2日目 尿・便・食欲共に異常がなければ、
野菜Aの量を少し増やす。それに応じてペレットを減らす。
異常があればAはメニューから除く。
3日目 2種類目の野菜Bを加える。Aは2日目の量のまま。
異常のチェック。
4日目 野菜Bの量を少し増やす。Aはそのまま。
ペレットの量を減らす。
異常のちぇっク。
その後... 以上の過程を繰り返して、野菜を3種類以上に増やす。

  • ペレットの割合を減らす ペレットにも干し草は入っているのですが、製造の過程で繊維がとても短くなっているので、効果が期待できないばかりか、実は毛を取り込んでおダンゴを作ってしまう張本人です。人間だって白米や白パンばかりでは腸に悪いって言いますよね。腸が細くて長い長いウサギには繊維不足は致命的です。一日の量を決めて、与えすぎないようにします。
  • 人間の食べ物を与えない 人間とウサギの内臓器官はよく似ていると言われ、それでウサギが動物実験に使われたりして不幸になっていますが、やはり完全に同じではありません。ふかふかのパンを食べて炭水化物の取りすぎによるショックを起こすウサギもいますし、もっと栄養のある餌を食べなくなったりもします。
  • 伝家の宝刀・酵素 食べ物のかたまりをほぐす酵素を含むパパイヤやパイナップルを時々与えましょう。うちでは、昼寝前のパパイヤタブレット半錠が基本ですが、フンの調子がいい時は与えません。逆に小さいな、と思ったら夜にも半錠与えます。注意として、パパイヤタブレットは、大変よく効くのですが、甘くてウサギが喜ぶので、ついついあげすぎてしまわないように断固とした態度で挑みましょう。ウサギは、一度「ねだればもらえる★」と思わせてしまうと、大変、大変、大変、大〜変、しつっこいです。ご存じですよね? あと、やっぱり自然のままがいいので生のパパイヤやパイナップルも時々与えるようにしています。生のものは錠剤ほど目に見えては効かないけど、安心です。でも、酵素に頼りすぎないようにしましょう。「パパイヤあげてるからチョコレートあげてもいっか」は、いくありません。






パパイヤタブレット。人間用の健康食品として売られている。1瓶100粒入って2.5ドル。日本にもあると思う。甘いのでうさぎには一回半錠くらいで充分。すでに固まった毛玉と食物の混合物をほぐし、押し出しやすくする。特にフンに問題がないようなら与える必要なし。

与えすぎに注意。最終的にはこれのお世話にならないような食生活をめざそう!


  • 運動させる 退屈させないために、新陳代謝促進に、腸の蠕動(ぜんどう)運動促進に、ストレス解消に、絆を深めるために、ただ喜ぶところを見たいから...運動しているウサギって幸せそうですよね。ドアに挟んだり、踏んだりといった事故にさえ気をつければ、運動は万病に効く、と思います。

  • 干し草をたっぷり与える いつもおなかの中をキレイにしておくために干し草は無制限に与えます。無くなる前に補充できるよう、食べるペースを観察しておきましょう。干し草の入ったヘイラックを高く取り付ければ、ウサギは伸び上がって食べます。見ていて面白い上に、胃腸を刺激して活発にします。「便秘に効くポーズ」というやつですね。

  • 観察 月並みですが、毎日ウサギの様子を観察することが重要だと思います。私など毎日一緒に遊んでいるから観察してる、と思い込んで しまうのですが、「しっこの色が変だよ」などと家族に指摘されてハッとしたり、なんて事がよくあるので気合いを入れなくては、と自ら戒めはするんだけど....。チェックリストを作って毎朝「ア〜、キミキミ、今朝の運行執行状況はどうかね?」などとやると続くかもしれませんねえ。

  • マッサージサービス これも観察の一環ですが、ゴロンとこれ見よがしに腹を出して横たわっている時などに、腹をさすってみましょう。コブや変なひっかかりがないか、注意しながら。え? 変なものが2つもある? そんな下じゃなくって! ...上から下へおなかをマッサージ。ホラ、歯をゴリゴリ言わせて喜んでるし、食べ物の移動の一助となるかもしれません。

  • 抜け毛期のお手入れ ウサギはしょっちゅう毛が抜け代わりますが、しょっちゅうなだけに一回あたりの抜け毛の量が少なく、まめにブラッシングをしていれば、ウサギが舐め取る前にゆるんだ毛を取り去ることができます。すると、そもそもウサギがグルーミングの結果飲み込んでしまう毛の量を減らすことができます。ちなみに、うちでは、指でつまんで抜いてます。虐待か? ヒュイヒュイと抜いていると、せいちんは気持ちよさそうに寝てしまうので、多分毛が抜けてカユイので気持ちいいのだろう、と、解釈していますが...。 いやがる時は、いくら面白くてもすぐ止めましょう。

こんな時はどうしよう?

  • 干し草あげたのに食べないよ 一日中餌箱にペレットが潤沢にあるような場合、常におなかがいっぱいなのでわざわざ粗末な干し草を食べたがらないウサギもいます。私だって、一日中テーブルの上にコーンチョコが置いてあるのに、わざわざ戸棚の中のワイルドライスを炊いて食べたりはしないと自信を持って言い切ります。一日の餌の量を決めて、食事が済んだら残った餌は片づけましょう。そうすれば、何かをモゴモゴしているのがすきなウサギのことです、高いところにあって取りにくい上にまずい干し草に食指が動くのも時間の問題と思われます。

  • パパイヤもパイナップルも食べないよ うちのがそうでした!! 保守的なウサギの場合、新しい食べ物はとりあえず一旦拒絶したりします。しつこく与えているうちにある日食べ始めるかもしれません。すぐにはあきらめないでください。
  • どうやって一日の餌の量を決めるの? 体重をもとにした一日の必要量の目安は、おおむね体重2キロあたり野菜1カップ、ペレット1/4カップ以下ですが、与える野菜やペレットの質によっても違うと思うので、食べ具合を見ながら自分で決めるのがいいと思います。いつまでも残っているのは、余剰分だと考えていいんじゃないでしょうか。ウサギに相談してはいけません。答えは「できるだけたくさん、いつも」に決まっているからです。 量の調節は、ペレットではなく野菜で行ってください。

    体重から必要量が一発計算できる計算機を設置しました。お試しください。

おわりに

字がギッシリですみません。これで一匹でも救えたら、と願う一心で書きました。本や資料を調べたり、インターネットや獣医さんから集めた情報ですが、間違っていたり、古かったりするかもしれません。気づいた方、ご指摘くださるととてもうれしいです。あちこちの家で元気なウサギがびょんびょん跳ねるように、もっともっと情報を完全にしたいと思います。