めざせ抱っこうさぎ!
うさちゃん懐柔作戦!

どんなうさぎもスキンシップなしでは生きられない。

どうしたら、もっとなついてくれるかな? どうしたら抱っこの好きなうさぎになるかしら?

 うさぎの飼い方・スキンシップ編 

緊急、移動、診療、グルーミングと、抱きうさぎにしておいて/おけばよかった、という局面は、うさぎを飼っていると、結構あります。

そんな理屈は抜きにしても、ふっかふっかの可愛いうさぎが家にやって来たら! 抱っこしたい、頬ずりしたい、一緒に寝たい.... 気持ちはわかりますがちょっと待って!! うさぎさんは準備ができているかしら? 愛情表現のつもりが、恐がらせてしまわないかな? 末長くつきあうには、最初はガマン、ガマン、なのであります。

けれども長いガマンの先には、可愛い愛兎とのハッピーライフが待っています。
めざせ、うさぎの友。めざせ、抱っこうさぎ!

| 1〜3日目 | 抱っこの嫌いなうさぎ?ボスの座抱っこ方法



 1日目〜 触わっちゃダメよ! まずガマン 

なぜうさぎと暮らすのか... ペットとして飼っている以上、この問いに対する圧倒的多数の答えは、何といっても「かわいいから」でしょう。かわいいうさぎ、待ちに待ったうさぎがやっと来た、はやる気持ちはわかりますが、ここがガマンのしどころなのです。

新しく来たうさぎさんは、あなたにとっては見慣れた我が家も未知の空間、エイリアンにさらわれてきたようなものなのです。この時無理に抱いたり、撫でたりしても、喜ぶどころか逆効果、なつくのを遅らせることはあっても早めることは決してありません。まずは、周囲の物音や匂いなど、環境に慣れてくるまで用意しておいた小屋に入れてそっとしておきましょう。気になっても、あまりのぞきこまないようにしてあげてください。

2日目〜 呼びかける、匂いをかがせる 

さて、立派に我慢して2日目を迎えたら、少しだけ接近してみましょう。まずは声です。名前をやさしく何度も呼んで話しかけます。あまり大きな声や、甲高い声にならないように注意しましょう。これから先、いつでも名前を呼んでコミュニケーションをとるように心がけてください。

さて、次は自己紹介です。といっても、名刺交換ではありません。あなたのうさぎさんは多分名刺を持っていないし、あなたの名刺は食べられてしまうでしょう。ここは、うさぎ流に匂いのごあいさつです。あなたの指をそっとケージに近づけてください。中に差し入れると、「何かな?」と噛まれることがあるのであくまでも、ケージの外にとどめてください。うさぎさんがクンクンと匂いを嗅ぐ間じっとしていましょう。これで今日は終わりです。あとは通りかかった時など、名前を呼んで優しく話しかけてあげてください。


3日目〜 いよいよ小屋の外へ! 

お待たせしました、よくがんばりましたね! 3日目はいよいようさぎさんが小屋の外の世界に雄々しく一歩を踏み出す日です。まずは、ケージのまわりを、つぶした段ボールや、家具、予算が許せばペットサークルなどで囲んで、安全地帯を作ります。これは、うさぎさんが危険なところに入り込んだり、変なものを食べたりするのを防ぐため絶対に必要です。最初の囲いは、そんなに広い必要はありません。2畳くらいの何もない空間を確保しましたか? 感電の危険があるケーブル類や、観葉植物はありませんか? 噛まれてはいけない本や1億円の小切手などは置いてありませんか? トイレは準備しましたか? (トイレのしつけページ参照)万全なら、小屋の扉をそっとあけて、「ぴょんちゃん、出ておいで〜」などと声をかけます。

すぐに出てこなくても、あせらないでください。もし仮に今日は出てこなくても、明日、明後日には必ず出てきます。うさぎは好奇心が強い動物なので、特に危険を感知しない場合には、新しい縄張りを探検するのが大好きです。もし、しばらく(1時間くらい)待っても出てこなかったら、とりあえず一旦扉を閉めて、何か恐い要素がないか探します。開け放った窓から聞こえる電車の音、隣のカラオケ、道路工事、パパの演歌CD、料理の匂いと音、洗濯機や掃除機など、私たちにとっては当たり前で見過ごしてしまうものでも、うさぎにとっては一大事だったりします。耳も鼻もいい、敏感なうさぎになったつもりで、環境をもう一度チェックしてください。

 動かざること、うさぎの飼い主のごとし 

うさぎさんが出てきたら、早速.......またガマンです。前にも言ったようにうさぎは好奇心が強いので、うさぎの自主性に任せた方が、新しい環境への順応もスムーズにいくのです。あなたは、囲った安全地帯の中に岩のように静かに座っていてください。先祖代々続く狩人ー獲物の関係を打破するために、まずうさぎさんにあなたが「無害」だということをわからせる必要があります。

小屋の外に出てきたら、うさぎさんは、まず端から端まで匂いを嗅いだり、鼻で押したりして、テリトリーを把握しようとします。あなたは、じっと座って無関心を装いながらも、常にうさぎさんの一挙手一投足を見守っていてください。囲いの中から出ていってしまったり、危険なものや大切なものを噛んだりしないように見張ります。




 ファースト・コンタクト 最初の一撫で 

そのうち、好奇心を抑えかねたうさぎさんが、自らあなたのところへ様子を探りに来ます。まあ、かわいい、と撫でたい気持ちをじっとこらえて、うさぎさんがあなたを値踏みするに任せます。

むこうから膝をつんつんとつついてきたり、顎で匂いつけをするようなら、上空からそっと手を近づけて、頭を撫でてみましょう。うさぎの目線から手を接近させると、うさぎは恐がります。あなた自身がうさぎに慣れるまでは、手の裏側、つまり甲と指の背を使って撫でることをおすすめします。こうすると、指で誤ってうさぎさんの弱点・飛び出した目をつっついたりすることもなく、安心です。


この時、うさぎは本能的にあなたの手の匂いを嗅いで、異物かどうかチェックします。あなたの匂いはもう教えてあるので、納得するまで匂いを嗅がせてあげましょう。びっくりして手を引っ込めたりしてはダメですよ。


 4日目以降〜 日々これ精進 

その後も、同じようにうさぎさんの気持ちを第一優先にして、距離を縮めていくよう努力します。名前を呼んで話しかけることを忘れずに! 何度も繰り返すと、あなたの声と名前を覚えます。特に、ごはんをあげる時や、撫でる時に名前をしつこく呼んでいると、名前とあなたの声を「なんかいいこと」と漠然ととらえるようになり、寄ってくるようになります。

この時大事なのは、どんなに忙しくても名前を呼んで側にきたら、撫でてあげてください。そうしないと、せっかく結びついたいいことと名前の関係がまた壊れてしまいます。

 抱っこうさぎめざして 

ここで注意ですが、抱っこが嫌いなうさぎがいます。これは、そのうさぎの生来の性質による場合と、これまでの人間との関係が悪くて抱っこ嫌いになっている場合と2通り考えられますが、いずれにせよ、無理は禁物です。いやがるうさぎを無理に抱き上げると、ストレスになるばかりか、抱き方が悪いと落としたり、背骨を折ってしまうなど命にかかわるケガをさせてしまうこともあります。

ただ、努力する前にあきらめてしまわなくでください。あきらめていても、時々は試してください。爪を切ったり、何か危険なものからとっさに守るために抱き上げたりと、簡単に抱き上げられるうさぎにしておくと、いいことがたくさんあるからです。もちろん、抱っこすれば親密度も上がるし、フカフカで気持ちいいというのも重要な要素です。

抱っこのしつけの原則は、嫌がったらすぐ降ろす。これが結局近道なのです。いつでも降りられるのだ、と思うと、うさぎは恐がる必要が無いことをすぐ学習します。たまに抱っこに成功したからと言って、いやがっているのに「もうちょっと、もうちょっと」と粘ったりすると、「一度つかまると、てぇへんだ!」とばかりに気配を察知すると脱兎のごとく逃げていくようになってしまいます。一度信頼を得てしまえば、爪切りや診療の時などに多少無理な抱っこをしても、それはそれとして許してくれるようになるでしょう。

降ろす時にも注意が必要です。高い所から飛び降りる形になると、ケガの原因にもなるし、抱っこに対する心象も悪くなります。降ろす場所にも気をつけましょう。ツメのかからないツルツルのフローリングの上などは本能的に怖がるので、畳や絨毯、タオルの上など足場のしっかりしたものの上に着地できるようにしてあげます。

抱き上げる場所にも気をつけましょう。小屋の中、トイレの付近など、縄張りとしての意識が強いところだと、抱き上げられる=降参する ということに、抵抗を示すうさぎさんがいます。なかなか抱っこに慣れないうさぎさんは、時々いつもと違う部屋に連れていってそこで抱き上げられるか試してみてください。

 親しき仲にも礼儀あり、可愛がるもボスの座は譲らず 

さて、うさぎさんがデリケートで、取り扱いにはとっても気を遣わなければならないということをわかっていただけたと思いますが、忘れてはいけないことがあります。それは、

なめたらアカンぜよ

ということです。矛盾したことを言うようですが、大切にしながらも、けじめはつけなければなりません。うさぎの気持を無視することと、社会の秩序を教えるのとは全く別の行為です。どういうことかというと、あなたはうさぎに言うことをきかせるために、兎のボスでなければならない、ということです。うさぎは群れて暮らすので、集団の秩序を守るために、順位を決定して、その順位づけに従って平和に生活します。

時々、ちょっとでも気に入らないことがあるとダンダンと足を踏み鳴らし、原因が取り除かれるまで続ける我の強いうさぎを見かけますが、これは生来の気質による場合もあるし、甘やかしが原因でそのようにトレーニングされてしまったという場合もあります。不満を伝える手段としての足ダンは抑圧してはいけませんが、ものには程度があります。そもそも、考えてみてください。指をパチンと鳴らすと飛んできて、御用をつとめる....これが主従関係でなくて何でしょう。つまりこれはうさぎにボスの座を取られてしまったのだと思えてなりません。

まぁ、それがまた可愛いという意見もあるんですが、ここでは従順で人を信頼する抱っこうさぎを目指すということで、「足ダンうさぎ」にならないようなしつけ方法を考えていきます。愛兎を下の地位に落とすことに抵抗を感じるかもしれませんが、全てのうさぎがボスになれるわけないので、一度順位がハッキリすれば、すんなり状況に順応するようです。

かえって、誰が一番か曖昧なような時には、いつも争っていなければならないのでストレスもたまり、あなたとの信頼関係も自然不安定なものになりがちです。ここは、心を鬼にして愛兎を千尋の谷に突き落としてください。比喩です。高いところからは絶対に落とさないで下さ〜い。

 俺がボスだ! 人間とうさぎのし烈な地位争い 

1. 足ダンには誠意ある対応を、しかしご機嫌をとるな
足ダンにも2種類あって、ひとつはあなたに言うことを聞かせようとする我がままの足ダン、これはあまり相手にしてはいけません。もう1種類の、危険を感知して仲間としてのあなたに知らせようとしてくれている足ダンがあります。これは無視せず、原因を調べ、取り除くようにします。どうやって見分けるか? それは、慣れるとわかってきます。

せいちんの場合は、お行儀が良く我がままダンは行わないのですが、まれに発情がキツイ時に言うことをきかせようとしてダンダンすることがあります。そういう時はちがう部屋に避難したりしてほとぼりが冷めるのを待つことにしています。

2. 文字どおりボスの座を守る
例えばあなたのお気に入りの座ぶとん。これに座る権利を主張します。あなたが座っているところにツンツンと鼻でつついてどかせようとしても、絶対にどいてはいけません。逆に、目を離した隙にあなたの座ぶとんの真ん中にどっかと座られてしまったような時は、どくまでお尻をつついたりの嫌がらせを繰り返してどかせます。もし遠慮がちに端の方に座っていたら、どかさずにあなたが真ん中に座りましょう。

通行の邪魔になっている時にも、やはり鼻ツンで「どいて」というメッセージを送ってくることがあります。もしあなたが、ほんとうにそこを通らないといけない交通の要に立っていたとしたら、どいてあげましょう。


3. 1日1度は服従のポーズ

地面に身も耳も伏せてじっと危険が過ぎるのを待つ....これは「撫でて」のポーズに似ていますが、服従のポーズです。大きな物音がした時などに咄嗟に取るポーズと同じで、姿勢を低くして後ろ足はふんばり、いつでも駆け出せるように全身に力が入っています。このポーズをとったら、そのケンカ/紛争での負けを認めたことになり一件落着です。

前述した座ぶとん争奪戦などの折りに、勝者(あなた。ですよね?)はうさぎさんの頭を手で軽く下に押し下げます。これは相手に勝ちを宣言するもので、順位づけにはなくてはならないものです。押し下げた挙げ句に撫でてあげたっていいのです。


最初見分けがつかなかった「服従」と「撫でて」

4. 第3の男...あるいは女

うさぎはボスであってはいけませんが、最下位でなければいけないというわけでもありません。あなた以外に人間の家族がいる場合、その人がうさぎの下であっても、これはしつけ上問題はありません。小さい子供や身の回りの世話をする人を格下と思う傾向があります。仮に、あなたが最下位であっても、誰か家族がボスをやってくれていれば、あなたにも抱っこできるうさぎになります。

 ボスは優しい 〜 信頼関係構築のためのガマンは続く 

さて、めでたくボスの座を確立したら....勘違いしないで下さい、ボスの命令として抱っこするのではありません。これからまた信頼関係を築くための努力を相変わらず続けるのです。

いつものようにむこうからやってきたら、いつものように撫でてあげながらも、常に新しく触われる場所がないかどうか探ってみてください。最初はオデコくらいしか許さないうさぎさんでも、あなたに撫でられてイヤな思いをしたことが無ければ、気持ちいいので次第に撫でてもいい場所が増えていくはずです。

耳、耳の後ろ、ほっぺた、あご、手のひら、腕、足のうら、足、もも、せなか、おしりなど、徐々に安全地帯を増やしていくように探ります。そもそも、足をさわられるのが恐いのに、全身を持ち上げられて大丈夫なわけがありません。両手を預けて平気になれば、脇に手を入れて持ち上げてからお尻を支える抱っこのしかたは、さしたる抵抗無く受けいれてもらえるはずです。そのように、うさぎが本能的に恐れる足や足の裏、手などを触りたい放題に触れるようになって初めて、うさぎさんに抱っこに対する準備ができてくるのだと私は信じています。

 抱っこ方法 

安全な抱っこの仕方には何通りかありますが、いろいろ試してみて、あなたと愛兎さんに合っていて最も安定するやり方を見つけましょう。最初に試す時には、地面からいきなり抱き上げるよりも、自分から膝に来たときに撫で回して前後不覚になっているところをそっと持ち上げるとうまくいきやすいです。それも、一気に胸の高さまで持ち上げるのではなく、10センチ持ち上げてみて、抵抗がなければ更に持ち上げてみます。間違えても、いきなり立ち上がったりしてはいけません。

最初はビックリするかもしれませんが、抱っこされるとたくさんたくさん撫でてもらえるとわかると、徐々に抱っこが好きになるでしょう。暴れる時は、無理をせず必ずしゃがんで低い位置から降ろしてあげてください。あなたも、うさぎの様子を見ながら、あなたのうさぎに合った抱っこ方法を身につけるよう努力してください。うさぎが心地よさそうにじっとしているのが、いい抱っこなのです。

一般に安全とされる抱っこの方法にもいろいろあります。基本は、下半身をしっかり固定すること。抱っこによるケガは、主に下半身の固定不足から起こります。うさぎの一番の武器は後ろ足の強力なキック力ですが、抱っこから逃れようとした時に、足の固定が甘いと、思い切り蹴って、その力で自らの繊細な骨を痛めてしまいます。暴れたら、顔や手よりも、足やおしりの保定を確認して、もしおさえきれないようなら早めに安全に降ろすことを考えましょう。

とにかく、大事なのは、あなたのうさちゃんが心地よいと感じる姿勢を探すことです。抱っこにもうまい下手がありますから、あなたもうさぎさんを慣らすだけでなく、自分もトレーニングをしているのだという気持でがんばってください。あなたとうさぎさんの絆が抱っこによってますます深まりますように!

抱っこにもいろいろ。自分のうさぎさんに合った方法を探そう!
膝に乗って来たのを抱えあげるにはこの方法がやりやすい うさぎがあなたにしがみつける姿勢 両手の下に片手を入れて、もう一方の手でおしりをすくうようにして抱き上げる方法。小さいうさぎにはよい。

 
| 1〜3日目 | 抱っこの嫌いなうさぎ?ボスの座抱っこ方法

このページを作成するに当たってご指導いただいたMorioさんにこの場をかりて
お礼を申し上げます。Morioさん、いつもすみません!!